
高配当株投資を始めたいけど日本株に投資したほうがいいの?
日本は衰退するから米国株のほうがいいって聞くけど・・・どうなの?
こんなお悩みの方にオススメの記事です。
最近は米国株が強すぎて「日本株オワコン」と言われることもあります(笑)
でも、本当に日本株に投資しなくてよいのでしょうか。
この記事を読んで日本高配当株のメリット・デメリットを理解し、投資の判断材料にして頂ければ幸いです。

目次
メリット
為替リスクがない
これが一番大きいメリットです。
為替リスクがないので資産価値の変動要因は株価のみになります。
配当金の計算・予想がしやすく、生活費に回す人はとても助かるでしょう。




上図のとおり、為替が動くと円換算時の損益が変わります。
円安になると利益。円高になると損失です。


↓は2009年3月期のトヨタ決算資料より、利益推移のチャートです。

トヨタ2009年3月期決算資料より引用・一部追記
「為替影響」で7,600億円の利益が吹き飛んでいます。
これはリーマンショックによる影響。
リーマンショック前: 1ドル=108円
リーマンショック後: 1ドル=89円
と急激に円高が進みました。
1ドル稼いで108円得られてたドル建て売上が、何もしてないのに89円の価値に下がったのです。
不景気による業績悪化に追い打ちをかけられ、トヨタはこのとき4,370億円の赤字を計上しました。


このように、外貨建て資産は為替によって損する可能性があります。
しかし、円資産の日本株は為替影響を受けません。
「円」で暮らす日本人にとって大きなメリットといえます。
配当金にかかる税金が安い
これも大きなメリットです。
配当金には税金がかかります。日本株と米国株では約8%も税率が違います。
・日本株: 約20%
・米国株: 約28%

ただし日本株は配当控除で、米国株は外国税額控除で税金を何%か取り戻せます。
日本株は所得によっては全額取り戻すことができたり、NISA制度を使えば税金をゼロにすることも可能です。
しかし米国株はどんなに頑張っても10%程度かかります。
NISAで米国株を買った場合は外国税額控除は使えません。

このように米国株は税金面でとても不利です。
日本株は米国株に比べ節税メリットが大きいと言えます。

銘柄分析がしやすい
当たり前ですが日本株の決算書は日本語で書かれています(笑)
なので英語で書かれてる海外株にくらべ財務諸表を読みやすく、銘柄分析がしやすいです。




■例 KDDIの貸借対照表(一部抜粋)

KDDI IR資料より引用
■損益計算書(一部抜粋)

KDDI IR資料より引用



■Amazonの貸借対照表(一部抜粋)

Amazon SEC Fillingより引用
■損益計算書(一部抜粋)

Amazon SEC Fillingより引用


ということで、英語が苦手な人にとっては銘柄分析の前に挫折しちゃいます。
その点、日本語の日本株は個別株投資のハードルが低いといえます。

デメリット
優良高配当株が少ない
これが最も大きなデメリットです。
日本株、米国株で比較してみましょう。
優良高配当株の定義は、連続増配年数が長い=優良とします。
長年増配できてる=不況時にも増配してきた事業の強さがあり、かつ株主還元に積極的な会社といえます。
高配当株投資においては最高の企業だと言えるでしょう。

米国株(高配当&連続増配)21/10/25時点
No. | コード | 銘柄名称 | 増配年数 | 配当利回り(%) | 備考 |
1 | T | AT&T | 36 | 8.16% | 通信会社大手 |
2 | UVV | ユニバーサル | 50 | 6.41% | 葉たばこ会社 |
3 | XOM | エクソン・モービル | 38 | 5.51% | 石油会社大手 |
4 | CVX | シェブロン | 34 | 4.75% | 石油会社大手 |
5 | MCY | マーキュリー・ゼネラル | 34 | 4.47% | 保険持株会社 |
6 | NWN | ノースウェスト・ナチュラル・ガス | 65 | 4.13% | 天然ガス会社 |
7 | WEYS | ウェイコ・グループ | 39 | 4.09% | フットウェア卸販売 |
8 | ED | コンソリデーテッド・エジソン | 47 | 4.07% | 総合エネルギー会社 |
9 | O | リアルティ・インカム | 28 | 3.94% | 不動産投資信託会社 |
10 | WBA | ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス | 46 | 3.90% | 薬局チェーン |
11 | PBCT | ピープルズ・ユナイテッド・ファイナンシャル | 29 | 3.90% | 金融持株会社 |
12 | UBSI | ユナイテッド・バンクシェアーズ | 46 | 3.77% | 銀行持株会社 |
13 | CTBI | コミュニティ・トラスト・バンコープ | 41 | 3.68% | 銀行持株会社 |
14 | BEN | フランクリン・リソーシズ | 41 | 3.64% | 資産運用持株会社 |
15 | TDS | テレフォン&データシステムズ | 47 | 3.61% | 通信会社 |
16 | FRT | フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラスト | 54 | 3.55% | 不動産投資信託会社 |
17 | LEG | レゲット・アンド・プラット | 50 | 3.55% | 家具・オフィス家具メーカー |
18 | ORI | オールド・リパブリック・インターナショナル | 40 | 3.51% | 保険持株会社 |



DA PUMPシングル「U・S・A」より引用

日本株(高配当&連続増配)21/10/25時点
No. | コード | 銘柄名 | 連続増配年数 | 配当利回り |
1 | 8593 | 三菱HCキャピタル | 22年 | 4.51% |




マンガ「賭博破戒録カイジ」より引用

No. | コード | 銘柄名 | 連続増配年数 | 配当利回り |
1 | 8593 | 三菱HCキャピタル | 22年 | 4.51% |
2 | 9433 | KDDI | 19年 | 3.44% |
3 | 2784 | アルフレッサ ホールディングス | 17年 | 3.29% |
4 | 4732 | ユー・エス・エス | 21年 | 3.16% |
5 | 8566 | リコーリース | 21年 | 3.12% |
6 | 9436 | 沖縄セルラー電話 | 19年 | 3.08% |
7 | 7504 | 高速 | 17年 | 2.94% |
8 | 7466 | SPK | 23年 | 2.90% |
9 | 8439 | 東京センチュリー | 17年 | 2.35% |
10 | 4452 | 花王 | 31年 | 2.18% |
11 | 9989 | サンドラッグ | 19年 | 2.05% |
12 | 9058 | トランコム | 20年 | 1.53% |
13 | 2659 | サンエー | 18年 | 1.39% |
14 | 6370 | 栗田工業 | 17年 | 1.36% |
15 | 5947 | リンナイ | 19年 | 1.17% |
16 | 4967 | 小林製薬 | 21年 | 0.93% |
17 | 4527 | ロート製薬 | 17年 | 0.89% |
18 | 8113 | ユニ・チャーム | 19年 | 0.74% |
19 | 7532 | パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス | 18年 | 0.70% |
20 | 9843 | ニトリホールディングス | 17年 | 0.67% |
最高は花王の31年連続増配。
利回り3%以上の企業でみても6社しかありません。米国株は25社ありました(21/10/25時点)
さらに25社のうち、連続増配年数=28年が最低値でした。

というわけで、優良高配当株は米国株の方が探しやすく、ポートフォリオも組みやすいです。
優良ETFが少ない
米国株だと「VYM」「HDV」「SPYD」といった優良高配当ETFがありますが
日本には優良な高配当ETFがほとんどありません。
「買ってもいいかな」って思えるのはMSCIジャパン高配当利回りETF(1478)くらいです。


日本ETF vs 米国ETF 概要比較
- VYM
- HDV
- SPYD
- NEXT FUNDS 野村日本株高配当70連動型上場投信(1577)
- NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(1489)
- iシェアーズ MSCI ジャパン高配当利回り ETF(1478)
■概要 (21/10/25時点)
銘柄名 |
バンガード 米国高配当株式ETF |
iシェアーズ・コア 米国高配当株ETF |
SPDRポートフォリオ S&P・500高配当株式ETF |
野村日本株 高配当70 |
野村日経平均 高配当株50 |
MSCI ジャパン 高配当利回り |
---|---|---|---|---|---|---|
コード | VYM | HDV | SPYD | 1577 | 1489 | 1478 |
構成銘柄数 | 411 | 75 | 80 | 70 | 50 | 40~100 |
特色 | 大型株の中でも予想配当利回りが 市場平均を上回る銘柄で構成(除くREIT) |
配当水準が比較的高位の 米国株式で構成 |
S&P 500インデックス採用銘柄のうち +G:I高配当利回り企業上位80銘柄 |
全上場企業のうち 配当利回りが高い70銘柄で構成 |
日経平均株価の構成銘柄のうち 配当利回りの高い50銘柄で構成 |
大型・中型の上場企業のうち |
分配金回数 | 年4回 | 年4回 | 年4回 | 年4回 | 年4回 | 年2回 |
分配利回り | 2.83% | 3.54% | 5.07% | 3.26% | 3.81% | 2.85% |
信託報酬率 | 0.06% | 0.08% | 0.07% | 0.35% | 0.31% | 0.21% |
米国ETFのほうが利回りが高め、信託報酬も安いです。


業種別比較












米国ETFの方がディフェンシブ株割合が多いですね。
配当金の安定感は米国株ETFに軍配が上がりそうです。

配当金の安定感比較
2018年~2020年での配当金推移を比較してみます。


米国株はSPYD以外、2020年のコロナ相場でも増配。
日本株は1478以外、大幅減配となっています。


価格推移比較
コロナショック前後のパフォーマンスをS&P500指数対比でみてみます。
■米国株ETF
どれもコロナショックから回復しています。
直近高値からの下落率はこんなかんじ。
・SPYD: -43%
・VYM、HDV、野村50、野村70: -30%
・MSCI高配当: -27%
SPYDが一番悪く、他は大体同じくらいでした。
この点は米国ETFが秀でてるわけではなさそうです。
日本株ETFも値動きに対する暴落耐性はあると言えます。


まとめ・私見
・配当金にかかる税金が安い
・銘柄分析がしやすい
・優良高配当ETFが少ない
いかがでしょうか。
個人的な感想としては
・資産拡大したいなら米国株をメインに投資したほうが効率が良い。
・配当収入で生活費を賄おうとするならリスク分散のために日本株への投資は必須。
といった感じです。
ご覧いただいた方の投資方針の参考になれば幸いです。
以上、お読みいただきありがとうございました。
