
本記事をご覧いただきありがとうございます。
「配当金収入は”株の一部売却”と本質的には同じ」
この一文が今日の本題。

と思われるかもしれませんが、そう思われた方にはぜひ読んで頂きたい記事となっております。
「配当金は最高の不労所得で、もらえると資産がどんどん増えていくんだ!\(^o^)/」
この考えに一石投じることになります。
結論から申し上げますと、配当金をもらう分だけポートフォリオ全体の価値は毀損してます。
配当金は「打ち出のこづち」から出てくる魔法のお金ではありません。
そんな今回は「配当金の正体」として配当金の本質に迫りたいと思います。
※この記事は配当金投資を否定する記事ではありませんのでご留意願います。
目次
配当金の分だけ株価は下がっている
配当日になると配当金がもらえますが・・・
実は、配当金の分だけ株価って下がってるんです。



青枠部分: 配当金が支払われたタイミング(図下の「D」が配当日)
下落幅: 配当前後での終値ベースの株価比較
どのタイミングをみても「配当額に近しい金額」分、株価が下がっています。
ここが「配当金」を理解するうえで非常にポイントになります。

理由は、配当金は企業の利益から出るものだからです。
利益が企業から流出する→ 企業価値が減少 → 株価の下落となるのです。
この現象は「配当落ち」「権利落ち」と呼ばれています。
ただし配当額ピッタリ下落するわけでもありません。
需給のバランスや、様々な複合要因によって株価はバラツキます。配当後に株価上昇することもあります。
しかし実際は配当をもらえる分、株価は実質的に下がってるのです。


配当分だけポートフォリオの価値は下がる
そう、配当金には税金がかかります。
税金がかかる分、理屈上は「株価の下落幅>配当収入」という状態になります。

■100円の配当があった場合(税率20%)
・配当金: 100円
・税金: 20円
・配当手取り: 80円
・株価下落: 100円
→ トータルで20円の損
つまり、税金のせいでポートフォリオ全体の価値が下がります。


配当金の本質は株の売却と同じ
勘が良い人ならお気づきかもしれません。
「配当の分だけ株価が下がる」と「税金がかかる」を組み合わせて考えると。
「配当金は”株の一部売却”と本質的には同じ」ということです。
この考えに基づくと配当再投資してる人は
「株を一部売却して、税金が引かれた利益を元手にもう一度株を買う」
ということをしてる事になります。



ちまたの本では「資産拡大には配当再投資&複利を活かすのがマスト!」みたいに書かれてるものもありますが、必ずしもベストな方法ではないという事です。
高配当株投資での配当再投資は非効率
高配当株で配当再投資をして資産拡大をしようとしてる人は、ここをよく読んで頂きたいと思います。
配当再投資での資産拡大は税金がかかるため非効率です。
高配当株投資は配当額が大きい分、税金も多くかかるのでさらに非効率です。

fa-tags例:元本1000万、配当利回り4%で10年間のリターンを比較
・毎年配当再投資する場合
・利確を先送りする場合
利確先送り=企業が利益を毎年内部留保し、10年目に利確するパターンと思ってください。
※元本の市場成長、資金の追加は加味していません。
■リターン比較
fa-check-squareリターン比較
配当再投資: 1,370万円
利確先送り: 1,384万円
10年目の実現益で14万の差が出ました。
この差こそ、税金の影響です。
資産という雪だるまを転がしてるつもりでも、税金の分だけポロポロと雪がこぼれおちてるんです。


この「無配スタイル」を貫く世界的に有名な企業が1つあります。
それがバークシャーハサウェイ。
投資の神様・ウォーレンバフェットが経営する会社です。
バークシャーハサウェイはまさに、配当で税金が引かれないために内部留保して、その資金で企業価値を高めて株価上昇により株主還元するスタイルです。

企業の利益は、内部留保されようが配当金で出されようが「同じ利益」なんです。
だから配当を出して税金を引かれるのはもったいない、という考え方に行きつきます。
ですので早期の資産拡大においては、無配や低配当のグロース株のほうが有利ということです。

とはいえ金額だけで計れない高配当株投資の魅力
ここまで読んで頂いた方はこう思ってるでしょう。
「じゃあ高配当株投資なんて、損するだけじゃん?」
たしかに、金額だけ考えるとそうなります。
しかし高配当投資は金額だけでは語れない多くのメリットがあるのも事実です。
不労所得である
誰がなんと言おうと、この事実は揺るぎません。
配当金は不労所得です。
給与収入のほかに、自分が働かなくても入ってくるお金がある。
このキャッシュフローは心強すぎます。
人生の幅を広げてくれるのは間違いありません。
いくら含み益を得たところで、売却しないと現金になりません。
「含み益は幻」です。持ってるだけでは一喜一憂で終わります。
株を「自動売却」してくれるのと同じ
この「自動売却機能」も非常に優秀です。
いざ株を売却するとき、誰もが迷います。
「今、売ってもいいのだろうか」
「もっと値上がりするんじゃないだろうか」
そして売った後に株価が上がったらこう思うはずです。
「やっぱりあの時売るんじゃなかった・・・!(涙)」
そして持ってない株の株価を見続けて、唇をかみしめる日々。
はい、投資家ならだれでも1度は経験があるこの流れ。

そう、自分の意志で売却するのは意外とエネルギーがいるしメンタルに影響します。
しかし配当金は自分の意志が入りません。
「配当金=株の一部売却」とするなら、
企業が決まった日に「株の売却」をしてお金をくれるので余計なエネルギーがかかりません。
これは長く投資を続けることにおいて非常に有益であると思います。
人生を変えられる投資手法
早期FIREされたことで有名な「三菱サラリーマン」こと穂高唯希さんも著書でこう述べられています。(一部要約)
配当金は受け取るたびに課税されます。
よって配当金が多いことはキャッシュフローが増えて喜ばしいですが、長期的に見ると配当金しない商品に比べて理論上リターンが下がります。
しかし、それをはるかに上回る効果を実感できるのが配当金という不労所得であり、キャッシュフローということです。
本気でFIREをめざす人のための資産形成入門より
課税によるデメリットは理解しつつ、それを上回るメリットがあるとして高配当投資を勧められています。
早期FIREという偉業を成し遂げた方が言われてるので説得力があります。
配当金投資は生活を変えるパワーを持っているのです。


まとめ
「配当金は手軽に得られる不労所得」
「企業が続く限り得られる魔法のお金」
そう思っていた方にとっては配当金の見方がガラリと変わったと思います。
「配当金収入は”株の一部売却”と本質的には同じ」
この視点を知っているだけで、より洗練された考えで投資できるようになると思います。


私は高配当株投資の賛成派であり、実際に行っています。
安値で買わないと恩恵を受けづらい手法になりますが、勉強し挑戦する価値は十二分にあると思っています。
また、本記事作成にあたり参考にさせて頂いた動画をご紹介します。
「SPYD全力マン」さんの動画で、その名の通り米国高配当ETF「SPYD」に集中投資されてる方です。
名前からは想像つかないくらい(失礼)、知性あふれるユーモアな語り口。そしてイケボです。
そしてなんとCFA協会認定証券アナリストの方です。(=国際的な投資プロフェッショナルを示す激ムズ資格)

今回の記事が高配当投資をするうえで何かヒントになればとても嬉しいです。
以上、お読みいただきありがとうございました。
今後も当ブログをごひいきにして頂ければ幸いです。
